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「何がデートよ!」
目の前の机をバン、と叩いて憤慨してるあたしを
可笑しそうに眺めているのは、同僚(というか先輩)の音楽教諭、
白石 さやか。
クスクス笑いながら、まぁまぁ、とあたしの肩を撫でながら宥めてくれる。
桐生くんが保健室から出て行った後、入れ違いで入ってきたのだった。
「何、荒れてんの? 珍しい。」
放課後、あたし達はよくここでお茶をしていて、女教師が少ないこの男子校では唯一、心置きなく話が出来る関係だ。
「だって……、何考えてんのかわかんないっていうか!」
男子高生の考えてることなんて、大体読み取れるって思ってただけに。
ちょっと、…悔しい。
あんな年下に、まるで振り回されたみたいで。
「ダレ? さっき保健室から出てきたの…桐生一哉でしょ? あのコ?」
うん、と頷きながら
あたしはさっきまで彼が飲んでいたグラスを片づけ、今度はさやちゃんのためにアイスコーヒーを入れる。
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