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オレンジ色に保健室が染まる夕暮れ時。
開け放していた窓から気持ちのいい風が通り抜け、ベッド脇のカーテンをたなびかせる。
「あぁ…、ソコ。イイ……。」
恍惚とした表情を浮かべながらベッドに寝そべっているのは、
日比谷 卓人(ひびや たくと)。
ダークブラウンの緩いパーマがかかった髪に、夕陽が射し込んでオレンジ色に光って見える。
「ちょっと。変な声出さないでよ。」
うつ伏せになってる彼の腰をマッサージしてあげていた手で、ペチッと背中を叩いた。
「イテっ! 何だよ、いいじゃん別に。ホントに気持ち良かったんだからさ。」
叩かれた勢いで、よいしょ、と卓人は上半身を起こした。
「生徒が聞いたら、勘違いするでしょ?」
「どう勘違いすんの?」
「…………。」
完全にあたしの回答を分かってる上で、ニヤニヤしながら聞いてくる。
だから、あたしは期待通りの答え をあげる。
「……言えないよ、そんなの。日比谷先生のえっち。」
クスクス笑いながら、キュッと彼の鼻をつまんでやった。
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