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ふと気付けば…
彼女の額に俺の唇は落ちていた。
柔らかく掠れた熱が離れた瞬間、
さわさわと心を擽(くすぐ)るような感覚が押し寄せる。
「あら、残念。」
俯瞰したような口調で口を開く高橋先輩に、ハッと意識を取り戻して、
「高橋先輩、そもそも” どこに ”って、
場所の指定がなかったからね?」
言いくるめるような口調で真っ直ぐ見据えてみせた。
けれど。
”…それに、” と続ける言葉からは、もう…
「彼女が大切なんで、いくらペナルティーでも、
皆さんの前でなんて出来ないっすよ」
--彼女の心を惑わせて、
揺さぶりかけようと、モガク気持ちで埋もれた自分しかいない。
瞬きもせず無表情のまま、息を大きく呑んでいる彼女。
いつものように甘い笑顔で微笑んで、彼女の手をそっと繋いで視線を落した。
嘘さえ溶けるような熱い口付けをすれば
何か、変わったのだろうか……
貴女の心は見えぬまま
触れてみたいと願う心をひた隠し
平行線は、未だ続く。
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