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”本条”の事は見れるのに、俺の事は見てくれないのは、
どーして…って気持ちが溢れてくる。
「ねえ。
何で俺に惹かれる所って、
一つも挙げてくんなかったの?」
聞いてみたって、何かが変わるわけでもないのに。
「ねぇ、何で?」
どこまでも、
応えてくれない彼女に苛立ちしか出てこなくて。
嫌悪感・拒否感・敵意…、彼女から感じるものは好意とはかけ離れている事くらい、初めから分かっている事なのに。
俺はそれを聞いて何がしたいんだろう…
なんて言葉を待ってるんだろう…
--分からなくて
--見えなくて
--知りたくなくて
--聞きたくない。
彼女の心の奥にある不安や恐怖を敢えて、指摘したんだ。
掻き乱して踏みにじる事で、彼女を此方側に引きづり込もうとしたのかもしれない。
自分が変えられないのなら、彼女に変わって欲しいと、諦めて欲しいと何処かで願ってしまったのかもしれない。
そんな都合のいい事、起こるわけないって自分が一番知ってる癖に。
「…お、お願い、……離…して…っ」
「嫌だ、って言ったら?」
「…お願い、……春樹っ…」
そんな俺を彼女は怯えた目をして、いとも簡単に突き放す。
…当然、…だよな。
誰かれ構わず身体を繋げる事は何度もしてきた癖に、
誰かと心を繋げようとした事は一度だって無いんだから。
「もう無理だよ…、………だって俺…、」
貴女を壊してしまいたいって思ってるんだから。
悲しませたって構わない。
無理にでも手に入れて、全部何もかも忘れて欲しいと。
”……御免ね。”
そう謝る俺に
” きらい ”と告げた貴女は
きっと
分かっていない。
嫌いだと言われれば言われた分だけ
振り向いてって気持ちが…積もる事に。
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