第6話

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”本条”の事は見れるのに、俺の事は見てくれないのは、 どーして…って気持ちが溢れてくる。 「ねえ。 何で俺に惹かれる所って、 一つも挙げてくんなかったの?」 聞いてみたって、何かが変わるわけでもないのに。 「ねぇ、何で?」 どこまでも、 応えてくれない彼女に苛立ちしか出てこなくて。 嫌悪感・拒否感・敵意…、彼女から感じるものは好意とはかけ離れている事くらい、初めから分かっている事なのに。 俺はそれを聞いて何がしたいんだろう… なんて言葉を待ってるんだろう… --分からなくて --見えなくて --知りたくなくて --聞きたくない。 彼女の心の奥にある不安や恐怖を敢えて、指摘したんだ。 掻き乱して踏みにじる事で、彼女を此方側に引きづり込もうとしたのかもしれない。 自分が変えられないのなら、彼女に変わって欲しいと、諦めて欲しいと何処かで願ってしまったのかもしれない。 そんな都合のいい事、起こるわけないって自分が一番知ってる癖に。 「…お、お願い、……離…して…っ」 「嫌だ、って言ったら?」 「…お願い、……春樹っ…」 そんな俺を彼女は怯えた目をして、いとも簡単に突き放す。 …当然、…だよな。 誰かれ構わず身体を繋げる事は何度もしてきた癖に、 誰かと心を繋げようとした事は一度だって無いんだから。 「もう無理だよ…、………だって俺…、」 貴女を壊してしまいたいって思ってるんだから。 悲しませたって構わない。 無理にでも手に入れて、全部何もかも忘れて欲しいと。 ”……御免ね。” そう謝る俺に ” きらい ”と告げた貴女は きっと 分かっていない。 嫌いだと言われれば言われた分だけ 振り向いてって気持ちが…積もる事に。
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