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「たかちゃん」
出てきた言葉は、彼女の質問に応えるものではなくて、
ただ、静かに彼女の名前を呼んでいた。
当の本人は、身体をビクッと揺らして
未だに俺への拒否反応を身体中から出している。
---面白くない。
掴めなくて、引き留められもしない彼女の心。
そんなに…、
そんな……、、
俺が、嫌いかよ。
苛立ちを抑えきれないまま見つめた視線さえも、
---簡単に、逸らされてしまう。
ゆっくりと後ろ歩きに何歩か下がる彼女に反して、
逃がさぬ様に数歩近づき歩み寄る。
……余程、俺に近づかれたくなかったのだろう……
俺に追い詰められた際に、焦った彼女の足が縺(もつ)れて、今にも倒れそうなくらい彼女の身体が傾いていく。
それを支えようと、咄嗟に力強く抱きしめるように自分の胸に引き寄せた。
華奢な肩、細い腰に手を回したら、
包み込むように、俺と彼女の距離が縮まっていく。
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