第6話

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ふと気付けば… 彼女の額に俺の唇は落ちていた。 柔らかく掠れた熱が離れた瞬間、 さわさわと心を擽(くすぐ)るような感覚が押し寄せる。 「あら、残念。」 俯瞰したような口調で口を開く高橋先輩に、ハッと意識を取り戻して、 「高橋先輩、そもそも” どこに ”って、 場所の指定がなかったからね?」 言いくるめるような口調で真っ直ぐ見据えてみせた。 けれど。 ”…それに、” と続ける言葉からは、もう… 「彼女が大切なんで、いくらペナルティーでも、 皆さんの前でなんて出来ないっすよ」 --彼女の心を惑わせて、 揺さぶりかけようと、モガク気持ちで埋もれた自分しかいない。 瞬きもせず無表情のまま、息を大きく呑んでいる彼女。 いつものように甘い笑顔で微笑んで、彼女の手をそっと繋いで視線を落した。 嘘さえ溶けるような熱い口付けをすれば 何か、変わったのだろうか…… 貴女の心は見えぬまま 触れてみたいと願う心をひた隠し 平行線は、未だ続く。
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