第6話

8/32
前へ
/32ページ
次へ
「(…いいから、俺の腕を組んで大人しくついて来て。 後、絶対に後ろ振り返らないで。)」 振り返られる事で、高橋先輩の気持ちが三津さんにあるとしょっぱなからバレテしまうのは、此方としても分が悪い。 そう思って言った言葉で、悪意は特に無かったのだけれど… 「(……。)」 俺の言葉に”心外”って顔しながらも無言で、言われた通りに素直に従ってくれる高橋先輩。 …彼女とは違うよな、と少し感心してしまった。 彼女なら何か一言二言、罵声が飛んでくるだろうに。 やっぱ大人の女性の方がシックリくるなと改めて思いながら、 絡まれた腕を愛しそうに見つめるフリをして目的地まで導いていく。 後ろからは、突き刺さるような二人の視線。 でも、感じたそれには敢えて触れずに素知らぬ顔に徹した。 きっと、後ろに立ち尽くす彼女は、 ”俺に任せておけばいいからって言ってた癖にぃぃ!!” なぁんて鼻息を荒げて俺達の後姿を見つめてるんだろうと、 その光景が目に浮かんだだけで、口元が緩む。 後で家に戻ってから、彼女から色々と突っ込まれるかもしれないが、そんなの交わすのは簡単だ。 彼女の単純さを、少し不憫に思うけれど仕方ない。 適当に理由付けすれば信じちゃうんだからね。 こうして" 恋愛研究室 "というサイトを見つけた高橋先輩は 俺たちのクライアントになった。此処までの流れは仕方ないとしても、だ。 何故---、 その翌日、4人で一泊旅行に行く事になるんだよ? 三津さんが何考えてるのか分からない。 俺、ソレ聞いてなかったからね…(怒 彼女が家に帰ってきてから初めて聞いたから。疎外感感じんのは俺の方。 なのに…… 隣の席に座る彼女は、自分だけが腑に落ちないって顔に出して仏頂面。 俺のが腑に落ちないし。 面倒臭いから、彼女には追求とかしないけどね。 ってかそんな事よりも----、俺の立場が今、危ない。 男から、弟へ格下がってしまったのだから。 21…、、彼女と8も歳が違うの、バレテちゃったのが不味かった。 だから今まで言わなかったのに。 ---聞くなよな、高橋先輩よぉ。 歳を誤魔化せば良かったって、初歩的失敗。後悔。。 ほんっと、清々しいほど…弟扱い。。 ってか、もーむしろ、なに? 俺を…ガン無視。空気扱い。 バスの車内、ゲームの”ハル”しか見えてない。 遠慮、気遣うとか、皆無なんだよな…
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

146人が本棚に入れています
本棚に追加