0人が本棚に入れています
本棚に追加
サプライズパーティから
すっかり日常に戻って、
希春には柚多夏に言いだせないでいる事があって心を痛めている日々が続いていた。
もうすぐ雑誌の発売日が来てしまう。
希春の小説の連載も始まる。
嬉しいはずなのに希春は喜べないでいた。
それは、小説の内容が柚多夏と希春の事を書いたからだった。
この小説を書き始めたきっかけは、柚多夏を忘れる為であり、柚多夏への恋を希春なりに形に残したいという思いもあった。
しかし、失恋だと思っていた恋が実ってしまい…小説の連載も決まり、
希春に幸運がドッサリ山盛りで落ちて来た。
こんなに一ぺんに嬉しい事があると嬉しい事も半減どころか、戸惑いになる。
説明をする準備がないままに周りだけが進み、自分だけアタフタと必死で後を追ってる。
こんなのが幸運と言うのか?
疑問だ。
柚多夏に嫌われて、捨てられて、また一人になる事を想像すると希春は怖かった。
でも、早く話さなければ、傷が深くなる。
どのタイミングで話そうか?
希春は考えた。
今夜にしよう。
なんて言って切り出そう?
正直に話すしかない。
連載を辞めて欲しいといわれたらどうしようか?
契約した時に高い賠償金を払う事になると説明する事になるだろう。
フィクションという事になっている事も話さなければならないだろう。
柚多夏は納得してくれるかな?
最初のコメントを投稿しよう!