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20世紀末。
日本のロック界で、空前の四百万枚のメガヒットを飛ばした男がいた。
立花全(たちばな あきら)、サディスティカル・パンク・バンド「ROSE」のドラマーであり、コンポーザーであり、プロデューサーである。
ステージ・ネームはZENN。
ゆるやかなウェーブの長い金髪に、日本人らしい端整な顔立ちという彼のルックスも、少女達を熱狂させた。
そんな彼は自らのインディーズ・レーベル「ギルティー・レコード」の後輩バンドをもメジャー・デビューさせ、ZENNがプロデュースした彼らのアルバムはどれも五十万枚を超えるヒットとなった。
それがきっかけで、ZENNはメジャー・レーベル「ギルティー・グランデ・レコード」を設立。
傘下のバンドも集結し、ここにインディーズ、メジャーにまたがり、日本のロック界を牛耳る「ギルティー帝国」が成立したのだった。
「音楽も、アーティストも、ステージももっと華麗に、過激に。」
ROSEのこの主張を現実のものとし、帝国を築くもととなったのが、パンクとヘヴィ・メタルを融合させた独特のサウンド「サディスティカル・パンク」であり、色鮮やかなコスチュームから始まった、グラビアやビデオを駆使したビジュアル戦略だった。
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