極甘バレンタイン

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痛みに顔を歪めながらも抗議する。 「…っ別に、俺だってっ…」 首元で「何?」って呟かれて、くすぐったさで膝から力が抜けそうだった。 俺だって、好きで喧嘩してきたわけじゃない。 自業自得ってやつだけどさ。 今までさんざ喧嘩してきたから何処でリベンジされたって当然っちゃ当然で。 それがよりによって今日だっただけなんだけど。 診察台に引き倒されて、センセーの無表情に見下ろされて。 怖れだか欲情だか判別不可能なものがこみ上げ 耐え兼ねて視線を逸した。 「診察、するよ」 シャツのボタンが一つ一つ外されていく 握り締めた、恥ずかしくてこれしか買えなかった板チョコが 手の中でパキリと音を立てる。 センセーが身体中に残した甘い噛み傷は その後数日の間、疼きとともに俺の身体に居座った。
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