極甘バレンタイン

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◆◆◆◆◆ 何度目かのインターフォンの後。 ようやく扉が開いて、まだ寝ぼけ眼で不機嫌を全面に押し出したセンセーがそこに居た。 「やーっぱまだ寝てた。今日午前中に来るって言っといただろ」 扉とセンセーの間をするりと抜けた。 寝起きの掠れた声が後ろからついてくる。 「あー……そうだった…か?」 医者の不養生っていうのか。 センセーは俺が時々見に来ないと、平気でソファで寝るし診察の時間ギリギリまで寝て朝飯も食わなかったりする。 見た目は固そうでなんでもこなしそうなインテリ眼鏡の私生活は、案外だらしない。 「ほら、これ食べてろよ。なんか飲み物いれてやっから」 リビングのセンターテーブルにコンビニで買ってきたサンドイッチの袋を置いて、俺はもう一つのビニールは持ったままキッチンに立った。 「大学は?」 「今日は休み。センセーは午後診だよな?」 持ってきていた飲み物をマグカップに二つ用意しながら、キッチンからセンセーを見ると、ガサガサと透明のビニールをはがしてちゃんとサンドイッチを食べていた。 そう、先生は午後から病院。 だから今日はこんな早くに来たんだっつーの。 ほんのり甘い香りをさせながら、マグカップを持ってセンセーの隣に座った。
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