極甘バレンタイン

9/12
前へ
/14ページ
次へ
つぷ…と、身体の中で音がした気がする。 少し入った内側を、入り込んだ指が関節を曲げて揉みほぐす。 「んっ…んぅ―――っ」 「今はもう、最初から2本入るようになったね」 うつぶせのまま、抑えきれなくなった声を枕の中に逃がした。 耳元で、「腰上げて」と低い声で囁かれることにさえ。 ぞくぞくして。 顔を伏せたまま、少し腰を掲げた。 「んっ」 少し、引き攣れたような痛みを感じて下半身に力が入った。 「唾液はやっぱりすぐ乾いてしまうね…痛い?」 枕に顔を押し付けたままこくこくと頷くと、カタカタと音がした。 多分、ベッドサイドの引き出しの音で。 数瞬後。 「んぅっ!」 冷えたものが触れて、びくんと腰が跳ねた。 ローションが冷たいまま、落とされた。 くすくすと含み笑いが聞こえる辺り、きっとわざとやってんだろうと思うと腹立たしい。けど。 「ふぁっ!…あっ!」 急に3本に増えた指が、打って変わって激しく動いてそれどころじゃなくなった。 息苦しさに、枕から顔を背けて息を吸った。 後ろを慣らしながら肩甲骨から首筋へ熱い息がかかり、そのまま背中を覆うように重みが加わる。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

306人が本棚に入れています
本棚に追加