第1話

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「チョコねーの?」 「ばっかじゃねーの?」 「義理で……」 「無い」 「NOフレンドの同情票……」 「殺すわよ」 即答。紫電炸裂の如く即答。 「なんで、あなたのように米の糠みたいな人間にチョコをあげようか」 「おい米の糠バカにすんじゃねえよ。あいつらはビタミンB1の宝庫……」 「バカにはしてないわ」 「は?」 「話し相手くらいには、退屈しない。半分、褒めてるのよ」 「……半分バカにしてるじゃん」 とは言えだ。彼女が表面的に彼を肯定したのは、これが初めてであった。大吉は、若干感じる照れを誤魔化すように絵の具を混ぜた。 そして、他の人間を彼女がどんな目で見ているかを思うと、寒気がするのだった。半分褒められて、米の糠なのだ。 「なんせ、心の底から私がバカにできる人間はあなたしかいないもの」 「……ちょっと嬉しがって損した」 大吉は呆れた感じの横目で松田を見た。少しだけ、松田は笑って大吉を見ていた。 大吉は、釣られて僅かに笑ってしまった。
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