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「チョコねーの?」
「ばっかじゃねーの?」
「義理で……」
「無い」
「NOフレンドの同情票……」
「殺すわよ」
即答。紫電炸裂の如く即答。
「なんで、あなたのように米の糠みたいな人間にチョコをあげようか」
「おい米の糠バカにすんじゃねえよ。あいつらはビタミンB1の宝庫……」
「バカにはしてないわ」
「は?」
「話し相手くらいには、退屈しない。半分、褒めてるのよ」
「……半分バカにしてるじゃん」
とは言えだ。彼女が表面的に彼を肯定したのは、これが初めてであった。大吉は、若干感じる照れを誤魔化すように絵の具を混ぜた。
そして、他の人間を彼女がどんな目で見ているかを思うと、寒気がするのだった。半分褒められて、米の糠なのだ。
「なんせ、心の底から私がバカにできる人間はあなたしかいないもの」
「……ちょっと嬉しがって損した」
大吉は呆れた感じの横目で松田を見た。少しだけ、松田は笑って大吉を見ていた。
大吉は、釣られて僅かに笑ってしまった。
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