第1話

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「花菜もさ、サッカー部でカッコいい人見つかるかもよ。サッカー部けっこうレベル高いもん。あ、でも樫原センパイはダメね」 美妃がお菓子の袋を開けながら言う。 樫原センパイは2年生でレギュラー。もちろん人気がある。1年女子の話題にもよく登場する。 「うーん…。人気のある人は、なんだか気が引けるかも…」 サッカー部とかの運動部は、地味系の自分には敷居が高い。普段からあまり男子と話さないのに、カッコいい人を見つけたからといって、積極的に動けるとは思えない。 美妃は花菜の答えに不満げだ。 「花菜はかわいいよ!胸だってあるし!私なんかギリギリAだよ?!」 「胸関係ある?」 花菜はは早智を見た。 「関係なくはないけど、それ目当ての男子なんてロクなもんじゃなさそう」 早智は3人の中で唯一彼氏がいる。だからなのか、こういう内容の話では大人びた発言をする。 「花菜は十分可愛いよ。肌も白くてキレイだし。髪も真っ直ぐで、日本人形みたい」 それをこけしと言う奴もいるんだよ。 早智が美妃をじっくり見る。 「美妃は告白しないの?美妃ならいけそうな感じするけど。噂では彼女いないんでしょ?」 美妃から笑顔が消え、眉を寄せる。 「…ムリだよ、私なんか。ライバル多すぎ。フラレるのわかってて、いけないよー」 溜め息をつきながら話す美妃に対して、早智ががっかりした表情を見せる。 「言ってみなくちゃわかんないのにー」 「とりあえず、今は見てるだけでいいんだ。バレンタインには頑張ろっかなー」 美妃に笑顔が戻り、気がつけば別の話題になっていた。
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