第2話

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「え?!じゃあ、描き直すの?」 次の日の朝、美妃と早智が花菜の机の周りを囲むように立っている。 早智の言葉に花菜は苦笑いで頷いた。 「スケッチは他にも何枚か描いてたから、あとは写真も見て、部室で仕上げるつもり」 美妃が眉を寄せた。 「でも、締切まで日にちないよね。残ってやるの?あんま遅くまでしちゃダメだよ。暗くなったら帰り危ないよ」 「うん、わかってる」 今日からは部室で描いてしまおうと思っていた。なんとなく、もうグラウンドには行きづらい。 「ていうか、ボールぶつけたの誰だったの?私がひとこと文句言っとく?花菜のことだたから、すぐ許しちゃったんでしょ」 早智が恐ろしい発言をする。 物怖じしない早智は、本当に言いに行きかねない。 「グラウンドの横にいたこっちも悪いしね。いいよ。キャプテンにナリって呼ばれてたけど…」 ナリと言われていた彼の顔を思い浮かべる。優しかったし、モテそうな雰囲気だった。昨日美妃に話したが、美妃は知らなかった。早智なら顔も広いし、知っているかもしれない。 「サッカー部でナリ……。まさか、成宮(ナリミヤ)かな?確か1組…」 「2組だよ」 突然、後ろから声がして振り返る。 「田口…」 クラスメイトの田口智哉(タグチ トモヤ )が仏頂面で立っており、持っていたコンビニ袋を花菜に差し出した。 「これ、成宮から。お詫びだってさ」 「え?!」 驚いた表情の花菜に、田口が袋を目の前まで持ってきて受け取るよう催促する。 受け取って中身を見ると、お菓子が数個入っていた。 「自分で渡せばって言ったんだけど、教室まで行ったら注目あびるだろうし、矢澤が目立つの嫌がるだろうからってさ」
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