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「え?!じゃあ、描き直すの?」
次の日の朝、美妃と早智が花菜の机の周りを囲むように立っている。
早智の言葉に花菜は苦笑いで頷いた。
「スケッチは他にも何枚か描いてたから、あとは写真も見て、部室で仕上げるつもり」
美妃が眉を寄せた。
「でも、締切まで日にちないよね。残ってやるの?あんま遅くまでしちゃダメだよ。暗くなったら帰り危ないよ」
「うん、わかってる」
今日からは部室で描いてしまおうと思っていた。なんとなく、もうグラウンドには行きづらい。
「ていうか、ボールぶつけたの誰だったの?私がひとこと文句言っとく?花菜のことだたから、すぐ許しちゃったんでしょ」
早智が恐ろしい発言をする。
物怖じしない早智は、本当に言いに行きかねない。
「グラウンドの横にいたこっちも悪いしね。いいよ。キャプテンにナリって呼ばれてたけど…」
ナリと言われていた彼の顔を思い浮かべる。優しかったし、モテそうな雰囲気だった。昨日美妃に話したが、美妃は知らなかった。早智なら顔も広いし、知っているかもしれない。
「サッカー部でナリ……。まさか、成宮(ナリミヤ)かな?確か1組…」
「2組だよ」
突然、後ろから声がして振り返る。
「田口…」
クラスメイトの田口智哉(タグチ トモヤ )が仏頂面で立っており、持っていたコンビニ袋を花菜に差し出した。
「これ、成宮から。お詫びだってさ」
「え?!」
驚いた表情の花菜に、田口が袋を目の前まで持ってきて受け取るよう催促する。
受け取って中身を見ると、お菓子が数個入っていた。
「自分で渡せばって言ったんだけど、教室まで行ったら注目あびるだろうし、矢澤が目立つの嫌がるだろうからってさ」
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