序章「親と学校と俺と。」

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俺は目を開いた。 いつも通りの天井。 目覚まし時計は7時ちょうどを指していた。 ベッドを降り、部屋を出て、眩しい光が差す狭い階段を降りると、リビングに向かった。 ー誰も……居ない。 ー何も……無い。 冷蔵庫に電子レンジ、木製の古びたテーブル……。 冷蔵庫を覗かずとも、中身は知っている。 ー空だ。 リビングを折り返し洗面所へ。 最近は水や電気まで不自由が出て来た。 水道もそろそろ止められるだろう。 蛇口を捻り、冷たい水で目を覚めさせ、ヒビの入った鏡を通して自分を睨む。 髪はボサボサになり、目には大きなクマが浮かんでいた。 ー相変わらず、暗い顔付きだ。 だが、これもまた日常。 今の俺に、非日常など存在しない……そんな気がした。
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