序章「親と学校と俺と。」

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3-2と書かれたプレートの教室に入り、数分たつと、ホームルームが始まった。 何事もなく担任の話が終わり、休み時間に入った。 何人かのクラスメイトが、俺をみてニヤニヤと嗤っていたのは言うまでもない。 授業もそれなりにこなし、昼食の時間になった。 もちろん、俺に食べる場所はない。 あったとしても、そこは……トイレ。 毎回、せっかく食べていても、早く食べ終えた下衆どもが俺に水をぶっかける。 奴らの行動は常にワンパターン。 なんて幼稚な事か。 恐らく今日もかけられるだろう。 そしていつも通りのトイレの個室に入り、座る。 数分が経ち、唐揚げを口に入れようと、箸で摘まんだ時……それは、起きた。 「おい、今日もやるぞ!」 「おう。萩原拓斗専用ぶっ掛けバケツ……」 ドアの前からかすれた声が聞こえる。 すかさずコンビニ弁当を服の中に隠し、身構えた。 「「せぇーのぉっ!!!」」 二人の掛け声と同時に、冷たい水が降り注ぐ。 「――っ!!」 いつもの事ではあるが、やはりこれは慣れない。 「「アッハハハハハ!」」 不快に笑いを響かせながら、奴らは去った。 俺の手がプルプルと震える。 ――寒い。けど、熱い。今日も……やり返せなかった。 そして、隠した弁当も……ずぶ濡れになっていた 。
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