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第1話
***
ある朝のとあるバス停
ボーイミーツガール
しかし運命は交差しない
今は、まだ
***
同じバス停で乗り合わせた一組の男女。
バスの振動でゆらゆらと座席で揺れている。
彼女は思う。
「何千何万という人が暮らすこの街で、
運命の1人と出会うなんて奇跡はめったに起こらない。
バス停なんて手近な所で始まる恋なんてあったら出会いになんて苦労しない。」
彼は思う。
「俺ときたら毎日毎日女の子とも話さず、
花やら植物に水と堆肥をあげる日々。
彼女にはフラれ、お客さんの園芸好きのマダム達との色のない会話ばかり。
バス停でもなんでもいい、
可愛い女の子に出会えるなら出会いたいもんだわ。」
今はまだ二人の運命は交差しない。
同じ路線の同じバスで時々会うけども、すれ違い続ける。
ボーイがガールにミーツしても、
ありきたりな日常のすれ違う程度なら、
普通会話もしないし、
お互いを認識しない。
大体普通バス停で恋は生まれない。
そうして沢山の人々とすれ違い続けるごく当たり前の日々。
そんなことはお構いなしに、
今日もバスは走り続ける。
この二人の主人公達を乗せて。
***
ある日の男の子。
この物語の主人公。
しかしその自覚はない。
どこにでもいる、優しくて、特に目立ちもせず、自己主張も大きな夢も野望もない、
真面目さが取り柄の、凡庸でイイやつ。
貴方の周りにもそういう奴はいるんじゃないだろうか。
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