第1話

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この物語におけるその凡庸でイイやつな彼は、 園芸センターの植物コーナーで働いている。 大学のアルバイトから5年間、 真面目に働いているお陰か、 それとも単に人手が足りないだけか、 彼は植物・園芸コーナーを任されていた。 任されるといっても、 店長や副店長などの役職はなく、 ただのバイトに毛が生えた程度の扱いの店員だ。 田舎の園芸センターなんてそんなもんである。 その凡庸な青年は今日、 夕方の公園で、 一株のサボテンを遠くから見つめていた。 草木の間から、 割りと、変なポーズで。
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