第1話

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*** さて、 一方女の子。 この物語のヒロイン。 彼女は、祖父と二人暮らしをしてアンティークショップに勤めている。 アンティーク屋といえば聞こえがいいけれど、実際はガラクタ同然の古物屋。 勤めてるって言えば聞こえがいいけど、実際は祖父から譲り受けただけ。 他のお店で買い手がつかなくなったもの、人がいらなくなったもの、 あと自分が好きで収集した「アンティーク」と称した品物を売っている。 祖父が趣味で続けていたものを、 商売のイロハも知らない女の子がやっているのだから、 当然、儲かるはずがない。 そんな彼女謂わく、 「あたしは消費社会って嫌い。 目新しいものをどんどん作っては捨てていくばかりで、 後世に残るような本当にいいものを作らない。 私のおじいちゃんは、 『昔はいいものしか作らなかった。いいものは100年経っても輝いてる』 って言っていたもの。 そう、 古くても素敵なものは素敵。 古い物との出会いには運命やそれを持っていた人のストーリーがあるから好き。 素敵な物に時を超えて出会えたのは運命なの。」 だから『物とのご縁を大事に』とりっぱなスローガンを掲げて、 祖父から譲り受けたオンボロ古物店で、 今日もせっせと古いものを修理したり磨いたりして過ごしている。
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