亡国の音 ~建業哀歌~ 

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劉備が諸葛亮のもとに着いたとき。 「申し訳ない。」 諸葛恪に諸葛亮は頭を下げていた。 「興亡・勝敗・生死は世の常です。 どうか気になさらずに。 」 劉備は驚いた。 「とてもしっかりした子だな。 孔明を龍、公休(諸葛誕)を走狗と例えたならば、諸葛瑾は虎と言う。 虎の子はやはり虎の子だな。 すぐにも出仕せぬか?」 諸葛恪は答える。 「ですが、孫権様や父の四十九日が経っておりません。 しばらくは方々の菩提を弔いとうございます。」 婉曲に断ったのである。 劉備は 「ならば、致し方なし。」 と言って、諦めた。
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