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劉備は翌日。
「朕はここに命を下す。
貴妃である孫尚香は、兄の謀叛を防げず、皇帝の妻たる貴妃としての責務を果たさなかったが故に……。
死罪を申しつける。」
「「ザワッ……。」」
文武百官は騒ぎ立てる。
ここで、諸葛亮が反対する。
「貴妃様はまだ、16歳になったばかり。
床も共にしておらず、名目上の貴妃であらせられた。
謀叛の責任は臣南陽王諸葛亮孔明にこそ、ありまする。」
しかし、劉備は、困惑した顔で。
「これは彼女が申し出たことじゃ。
孔明は、功臣でこそあれ、罪人ではない。
それに、謀叛人の妹として生きていくよりも、殺された方が、誇り高き孫尚香にはマシであろう。」
諸葛亮は黙ってしまった。
「では、明日、未の刻に執行する。」
そう告げた時の劉備の顔の涙に気づいた者は誰一人いなかった。
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