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「…うーん、狂骨に骸金魚。姑獲鳥から青入道もいるけど、厄介なのは鎌鼬か」
ぞろざろと壮燗の口から名だたる妖の名前が並ぶ。
中でも鎌鼬というのは他の妖と比べると攻撃的で、油断をしようものなら全身を鎌で切り刻まれて命を失う事は必至だ。
蠢く妖の気配が一層強まった。
それと同時に壮燗の口元は大きな弧を作り出す。
「まぁ、丹生爺もいるし安心して戦いますか」
「構えろ、壮燗」
全体の指揮を取る鳴弥の言葉よりも早く、壮燗の体は機敏に身構えた。
押し寄せてくる妖魔の波に合わせて、鳴弥が声を張り上げた。
「総員! 突撃だ! 」
その言葉を皮切りに、討伐隊が一斉に妖の討伐に駆り出した。
壮燗も地面を蹴り、押し寄せる妖の軍勢の中に入る。
刀を納めた鞘と己の肉体を巧みに扱い、壮燗は妖を打ち倒してゆく。
恐れるに足らない相手に、手応えの無さを感じながら壮燗は攻撃の手を休める。
何百の妖に対し、こちらの軍勢は精鋭二十数名。
その内、壮燗を含めた『八鬼』がこの戦場に四名と一名存在するのだ。
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