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討伐隊の中でも最高の戦闘力を誇る壮燗の余裕は、響八からしてみれば痺れる程堂々としている。
微笑みを絶やさない壮燗が、背後に立つ響八にひょんな事を訊ねた。
「響八、妖がどれだけ危険か知ってる? 」
「俺、小さい頃に妖に襲われた事があるんです」
「へぇ」
聞いたにも関わらず、無関心な様子で壮燗は周囲に殺気を放った。
妖もその殺気を圧されぬ勢いで、壮燗と響八に飛びかかる。
だが、壮燗は刀を抜かず鞘のみで襲い来る妖を打ち負かした。
対して新米の響八は鞘から刀を抜刀し、体に教え込ませた刀技で妖に対抗する。
確実に弱い響八に妖が集中して襲いかかるが、戦闘慣れした壮燗が援護する形で妖を討つ。
「うーん。筋は悪くないんだけど、実戦経験がないとやっぱり」
「…すみません」
足を引っ張る存在である事を改めて痛感する響八に、妖を倒し続ける壮燗がそんな暇はないと目で合図を送る。
「隙見せたら一瞬で乗っ取られるよ。響八、集中」
「はっ、はい! 」
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