・半鬼の初陣・

8/18
前へ
/284ページ
次へ
 討伐隊の中でも最高の戦闘力を誇る壮燗の余裕は、響八からしてみれば痺れる程堂々としている。  微笑みを絶やさない壮燗が、背後に立つ響八にひょんな事を訊ねた。 「響八、妖がどれだけ危険か知ってる? 」 「俺、小さい頃に妖に襲われた事があるんです」 「へぇ」  聞いたにも関わらず、無関心な様子で壮燗は周囲に殺気を放った。  妖もその殺気を圧されぬ勢いで、壮燗と響八に飛びかかる。  だが、壮燗は刀を抜かず鞘のみで襲い来る妖を打ち負かした。  対して新米の響八は鞘から刀を抜刀し、体に教え込ませた刀技で妖に対抗する。  確実に弱い響八に妖が集中して襲いかかるが、戦闘慣れした壮燗が援護する形で妖を討つ。 「うーん。筋は悪くないんだけど、実戦経験がないとやっぱり」 「…すみません」  足を引っ張る存在である事を改めて痛感する響八に、妖を倒し続ける壮燗がそんな暇はないと目で合図を送る。 「隙見せたら一瞬で乗っ取られるよ。響八、集中」 「はっ、はい! 」
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加