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壮燗の手解きを受けながら響八は何とか妖を倒す。
そして、周辺にいた妖が消えると肩の重荷が取れた壮燗は構えを解く。
それに続いて響八も刀を下ろした。
「壮燗さん、もう大丈夫ですかね…? 」
「さぁ? 何時何が起きてもいいように構えておいた方が良いんじゃない? 」
にやけながら壮燗は、まだ周囲に存在する妖を警戒する。
ふと両者が目を凝らせば、前線では妖が空を舞っていた。
あの前線では嶺禄という年長者の鬼が、肉体一つで妖を薙ぎ倒しているのだ。
「やぁー、丹生爺今日も飢えてるね」
「…丹生爺…? 」
「嶺禄の事だよ。あの鬼は序列第二位だから」
なるほど、二位を当て字に嶺禄は丹生爺と呼ばれているのかと響八は理解する。
彼の興味は次に壮燗が手に携える刀に向いた。
人が鋼を鍛えた物であるのが刀だと知る響八だが、どうやら壮燗が持つ刀は少し異なる。
「…壮燗さん。それだけ強いのにどうして刀、抜かないんですか? 」
「別に抜いても抜かなくても僕、強いから抜かないよ」
子供が悪戯に成功した時と同じ様に笑う壮燗に、不信感を抱く響八は顔をしかめた。
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