とある年のクリスマス

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母が居なくなって。 元々仕事人間の父は、ますます仕事にのめりこみ。 長男の志優が逃げるように家を出て。 志優と双子の私が結婚で家を出て。 妹の友花も結婚して。 一人で残された悠汰は、何を考えてたんだろう、と思う。 だけど。 悠汰は穏やかな顔をするようになった。 この家も前ほど前のままじゃない。 ちょっとづつ変わっていってる。 それは、厭な感じじゃなくて。 丁度こんな小春日和の日に、窓を開けて日向ぼっこをしてるような感じ。 ちょっと、すうっとするけど暖かい感じ。 玄関あたりで行き会ったんだろう。 お帰りとかただいまとかいってきますとか、賑やかな声がする。 「るんたー、帰りにクリスマスケーキ、買ってきてねー」 そう、声をかけたら 「ぅあーい」 なんて、懐かしい、やる気のない声が返ってきてた。 晩御飯には、母が居たころのクリスマスの定番メニューを作ってあげよう。 今夜は、イブなんだから。
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