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『深刻そうだな。ここからじゃ話が聞こえないな』
衛藤が言った
『うん。でも不倫してるようには見えないな。隣りに座っていても距離がある』
希春が言った
『本当、冷静だな』
『ここに来るのは何か事情があるのかもしれないし…信じたいしね』
『うちの死んだ奥さんはなんで不倫したんだろうな…』
衛藤が呟いた
『衛藤くんは浮気した事はなかったの?』
『そりゃあ、男だからな』
『男も女もないよ。結婚して最愛の相手じゃない事に気付く時もあるし、人間って少しでも寂しい気持ちがあると他の人に恋しちゃうのかもね。お互いの事を思い合えるパートナーに巡り会える事の方が私には難しいと感じてるよ』
『希春も不倫してたの?』
『私は母性が強いのか息子達の事ばかり考えていたな。前の結婚は精神的ダメージが強かったせいか外出をあまりしなかったし、仕事はウチの中だったから出会いもなかったよ。でも、そんな私が柚多夏くんに出会った時は知らないうちに恋してた』
希春はそう言ってちょっと寂しそうに笑った
『柚多夏くんが不倫してたらどうする?』
衛藤が希春に真顔で聞いた
『分からない』
『…』
『どうなるんだろうね。私達』
『冷静だな』
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