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『佐城係長は遊びだったんでしょ?』
『…』
『私とお父さんを裏切って、年下の男に捨てられたら何食わぬ顔で戻って来て、お父さんと私がどれだけ我慢して苦しんだか分かってる?
なのにお父さんと別れたらこの人とまた不倫するつもり?
お母さんも佐城係長も酷い。
今度は佐城係長の奥さんが私とお父さんみたいに苦しむんだよ』
と杉みちるが感情的に言った。
『杉さん、うちの奥さんを俺は裏切らないよ。だから、苦しむ事はないよ。それに山野課長に振られたのはこっちだよ。10年前に数ヶ月だけ付き合った。その時、杉さんのお父さんには好きな人がいたんだよ。お母さんはお父さんに愛情があったよ。お母さんだけを責めるなよ』
柚多夏が杉みちるに言った
『柚多夏くん、やめてよ。
みちる、お父さんにはそんな相手はいなかったのよ。私の誤解だったの。お父さんが家族を みちるを裏切るはずないでしょっ』
さっきまで冷静だった山野絵里子が動揺した。
『どういう事?』
杉みちるの顔から血の気が引き青白くなった。
『10年以上前からお父さんにはお母さん以外に好きな人がいた。俺は10年前に振られて、君の為にお父さんもお母さんも家族の所に戻った。それが杉さんが知りたかった事だよ』
柚多夏がそう言うと、席を立ち会計を済ませて帰って行った。
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