不倫の代償

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『みちる、ごめんね』 柚多夏が去って、杉みちると二人になった山野絵里子が言った 『佐城係長の話は本当?酷いのはお父さん?お母さんが浮気する前からバラバラな家族だったんだね。うちは』 杉みちるが俯いた 『ごめんなさい。でもお父さんも私もあなたが大切な宝だった。だから離婚しなかったのよ。お父さん、もうすぐ再婚すると思うわ。彼女にもずっと待っててもらったのよ。悔しいけど、あの人達は愛し合ってるのよ。今は私にもあの二人の関係が理解出来るようになったわ。あなたも許してあげてね』 『お母さんは?それでもいいの?佐城係長の事は好きだったの?』 『柚多夏くんの事は違ったと思う。お父さんが好きだった。お父さんと去年離婚して寂しくなって、久しぶりに昔彼と会っていた店に行ったら彼がいた。一瞬、運命かと思ったけど、彼には既に心に決めた人がいて、でもその時はまだ付き合ってもないって言うのに…私は振られたわ。なんだか、幸せそうな柚多夏くんに意地悪したくなって…でも酷い事したわ』 『ごめんね、お母さん。お母さんを悪者にして、犠牲になっていたなんて知らなくて…私。 お父さん、私には優しいお父さんで…。お母さん、寂しかったよね。』 と杉みちるは言った。 『寂しくなかったと言ったら嘘になるけど、あなたがいたから大丈夫だった』 と山野絵里子が言った。 『お母さん、私と一緒に暮さない?』 杉みちるが母に言った。
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