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希春と衛藤に聞こえたのが
『やっぱり佐城係長がお母さんの不倫相手だったんだ』
という若い娘(こ)の言葉だけだった。
『希春…どうする?』
衛藤が言った
『限界…。私、嫉妬してる。柚多夏と関係があった人の顔を覚えたくない。私は柚多夏くんから聞いてみる』
『いいのか?山野って人は希春に全部話すつもりだったんじゃないか?』
『衛藤くん…代理人として代わりに聞いて来てもらえないかな?』
希春が申し訳なさそうに頼んだ。
『俺が?…、仕方ない、乗りかかった船だからな』
『ありがとう。衛藤くんは本当に心の友だよ。私、先に会計を済ませて帰るね』
『我慢すんなよ。何時になっても連絡して来いよ』
『うん。じゃあ、後はよろしくね』
希春が会計を済ませて店を出たのを確認してから衛藤は山野絵里子達に近づいて行った。
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