0人が本棚に入れています
本棚に追加
『山野って言ったんですね?』
と朝倉が顔を強張らせて言った
『うん。知ってるのね?やっぱり会社の人だったんだね』
と希春が言った
『噂は本当だったんだ』
と朝倉が言った
『噂って?』
『もう、とっくに別れたと思いますよ。続いてはいないと思います。ただ…』
朝倉の話だと、10年近く前に柚多夏と山野という女性の不倫が噂になったらしいが誰も本当の事は分からなかったと…
3年前に山野さんが大阪本社に転勤になった。
すでに噂も消え忘れていた。
山野さんは柚多夏より10歳年上で結婚もしていて子供もいる。
キャリアウーマンで家族と離れて単身赴任をしていて、去年、離婚したと聞いたと言った。
『朝倉くん、この事は誰にも言わないで、約束してね。悪戯電話かもしれないから、私、確かめてみるから』
『希春さん、佐城さんは確かに女が好きだし、モテます。でも、希春さんの事を思ってると思いますよ。言い訳になるけど男は寂しいとダメなんですよ』
『うん。分かってる。私が甘え過ぎてたのも確かなの。でも柚多夏くんを信じたい気持ちがあるの』
希春は衛藤に連絡した。
衛藤は日本にいた。
運良く次の土曜日は予定がないと言うから希春に付いてBARにきてもらった。
最初のコメントを投稿しよう!