episode 97 同類

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「遊ぼうじゃないでしょう?」 さすがに ――だまされてはくれない。 「こんな時間に君がここへ来たわけは?」 「決まってるでしょう。あなたに悪戯するためさ」 「和樹――」 強引な僕の手を甘く絡め捕り 九条さんは本物の兄貴のような顔でこちらを覗きこむ。 「兄弟喧嘩だよ。家にいたくなくて」 子供じみた理由。 今になってだらしなく乱れたシャツの襟元を正す僕を――。 「何?何があった?」 不安げに見つめ九条さんは尋ねた。 「いや、いつものとおり――でも悪いことばかりじゃないよ」 「どういうこと?」 「僕、お父様の秘密――聞いちゃったんだ」 僕は基本おしゃべり。 耳にした秘密を黙っている事なんてできない。 それが面白い物ならなおさらさ――。 「お父様の秘密?」 「そう。それがさ――」 意気揚々と語り出す僕を前に なぜか――。 「しっ」 周りを気にした様子で 九条さんは口元に人差し指を立てた。
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