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隣の部屋にお父様たちがいること――。
考えようによってはこれは
お兄様たちを出し抜く
恰好のチャンスなのかもしれない。
ずるい頭をめぐらせながら
僕は恋人の胸元に甘く唇を這わせる。
「和樹――今の聞いたでしょ?気をつけないと僕らの声だって」
「漏れる?」
「そう、漏れちゃうよ」
言いながら九条さんは
「イイ子にして」
どうにか押しとどめるように
僕の髪をそっと撫でる。
だけど折り目正しい彼氏が
その気になるポイントも
僕は知ってる――。
「九条さん。僕ね、実はさ……襲われかけて逃げてきたの」
「……なんだって?」
「だから屋敷で襲われかけて逃げて来たんだ。あなたのところにね」
真珠色の肌をまさぐりながら
独占欲をあおり
「だって僕はあなたの物でしょう?」
自尊心を刺激する。
「また征司くん……?」
「違うよ、今日は血迷った薫お兄様……征司お兄様はさ、犯されかけた僕を助けて見返りを要求しただけ」
そしてやってきた――。
僕が楽しみにしていた
王子様の目の色が変わる瞬間。
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