episode 97 同類

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隣の部屋にお父様たちがいること――。 考えようによってはこれは お兄様たちを出し抜く 恰好のチャンスなのかもしれない。 ずるい頭をめぐらせながら 僕は恋人の胸元に甘く唇を這わせる。 「和樹――今の聞いたでしょ?気をつけないと僕らの声だって」 「漏れる?」 「そう、漏れちゃうよ」 言いながら九条さんは 「イイ子にして」 どうにか押しとどめるように 僕の髪をそっと撫でる。 だけど折り目正しい彼氏が その気になるポイントも 僕は知ってる――。 「九条さん。僕ね、実はさ……襲われかけて逃げてきたの」 「……なんだって?」 「だから屋敷で襲われかけて逃げて来たんだ。あなたのところにね」 真珠色の肌をまさぐりながら 独占欲をあおり 「だって僕はあなたの物でしょう?」 自尊心を刺激する。 「また征司くん……?」 「違うよ、今日は血迷った薫お兄様……征司お兄様はさ、犯されかけた僕を助けて見返りを要求しただけ」 そしてやってきた――。 僕が楽しみにしていた 王子様の目の色が変わる瞬間。
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