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「何をされたか、詳しく話してごらんよ」
嫉妬に狂った顔したって
彼の愛らしさは増すばかり――。
「……聞きたいの?」
本当は何一つ
耳にするのも我慢ならないくせに。
だから僕はしおらしく俯いて
「薫お兄様は僕を手なずけようとして、ものすごく意地悪なやり方で攻め立てたの……。わざと痛くして、言う事を聞かないならぶっ壊してやるって」
――望みどおり口にしてやる。
「だけど最後は僕のこと『可愛い』って言ったよ」
「最後だって……?」
僕を抱きすくめる腕に
言わずもがな力がこもる。
「ううん。そこで征司お兄様が入ってきたから……」
「それで?」
「……まだ話さなくちゃいけない?」
僕がゆっくりと赤い唇を開くと
そいつを求めてやまないくせにそれでも
「――ああ、話せよ」
九条さんはまるで
自分を罰するように頷いた。
「征司お兄様は……僕のこと自分の玩具だと言って……薫お兄様のベッドでそのまま……」
さすがにこれ以上は――。
「ねえ……もういいでしょう?」
だけど僕が口ごもるほど
王子様の心に灯った嫉妬の炎は
「――それからどうしたの?」
怖いぐらいメラメラと燃え上がる。
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