episode 97 同類

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「それで?お兄様たちに虐められたから――僕に慰めてもらおうと?」 言いながら 九条さんは僕の腕を引き ――広いベッドへ導いてゆく。 「うん。そうだよ……」 あくまで従順な忠犬のように 僕は上目づかいに従った。 「だけどさ――僕だって気分によっては同じことをしてしまうかもしれないよ?」 つぅーっと冷たい指先が 嘘つきな僕の喉元を伝う。 「君を泣くほど虐めて――誰の物かと問い詰めるかも?それとも――言葉にできないほど恥ずかしい事を強要するかもしれないよ?それでもいいの?」 本気だ――。 柔らかく上品な声音とは裏腹に 九条さんの瞳は笑ってはいなかった。 「いいよ……九条さんになら……意地悪されてもかまわない」 だけどその瞳が逆に 根っからマゾヒストの僕に うまく縄をかけ甘く縛りつけるんだ。 「むしろ――僕が泣くまでして欲しい」 唇を甘噛みしながら 僕は応えるように吐息で囁いた。 「ああ、和樹――。君が近くにいるだけで、いまだに僕は――こんなに胸がドキドキする」 大きな瞳が欲望と慈愛に満ちて揺らぐ。 「でも待って――隣に声が聞こえちゃうかも」 しばらくすると王子様の中で 黒い欲望が理性に勝って――。 「いいや大丈夫。 今日は愛し合う間中ずっと――僕の舌で蓋をしておこう」 僕をベッドに押し倒し ――今度は大胆に唇を奪う。
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