episode 97 同類

10/11
前へ
/348ページ
次へ
そして――。 「……有言実行、あなたのことだね」 「ん?」 「まだ舌の感覚が戻らない」 僕の身体は 優しい悪魔に 完全に支配された。 「ねえ九条さん、明日の会合ってどんなもの?」 真夜中のピロートーク。 甘い言葉だけじゃ満足しないのが 僕の性――。 「ああ、たいした集まりじゃないよ。ここのホテルのオーナーが一昨日代替わりしてね。文字通りお披露目を兼ねての立食パーティーさ」 「じゃ、僕が出席しても構わないよね?君の従者として」 「今度は何企んでるの?」 ベッドの中 長い腕がけだるげに僕に絡みつく。 「構わないと言わないなら――今夜は一度きりだよ」 知ってる。 僕の身体を味わってしまったら最後 けして一度では満足できない彼の性。 「この状況で僕が断れるとでも?」 波打つ栗毛の合間から 物欲しげな唇がこぼす。 「本当に強欲だよ、君は。僕に抱かれながらいつも次の悪巧みをしてる」 恨みがましく呟きながらも 彼の両手はすでに――僕を求めて肌の上をさまよう。
/348ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1084人が本棚に入れています
本棚に追加