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そして――。
「……有言実行、あなたのことだね」
「ん?」
「まだ舌の感覚が戻らない」
僕の身体は
優しい悪魔に
完全に支配された。
「ねえ九条さん、明日の会合ってどんなもの?」
真夜中のピロートーク。
甘い言葉だけじゃ満足しないのが
僕の性――。
「ああ、たいした集まりじゃないよ。ここのホテルのオーナーが一昨日代替わりしてね。文字通りお披露目を兼ねての立食パーティーさ」
「じゃ、僕が出席しても構わないよね?君の従者として」
「今度は何企んでるの?」
ベッドの中
長い腕がけだるげに僕に絡みつく。
「構わないと言わないなら――今夜は一度きりだよ」
知ってる。
僕の身体を味わってしまったら最後
けして一度では満足できない彼の性。
「この状況で僕が断れるとでも?」
波打つ栗毛の合間から
物欲しげな唇がこぼす。
「本当に強欲だよ、君は。僕に抱かれながらいつも次の悪巧みをしてる」
恨みがましく呟きながらも
彼の両手はすでに――僕を求めて肌の上をさまよう。
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