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「違うよ――質のいいスポーツのあとは、きっと血の巡りがよくなって、あれこれ思い浮かぶんだ」
僕は口端で笑って
そのまま彼の手に身を委ねる。
「ねえ九条さん――もしも僕が天宮家の当主になったら君を永遠に僕の側に置くからね」
「そんな事しなくても僕は君から離れたりしないさ」
「そういう問題じゃないよ。欲しいものすべて手に入れたいんだ。最高の形で――」
九条さんの言うとおり
僕はとても強欲だ。
だけど僕が求めるものは間違いなく
この世に二つとない希少品ばかり――。
「愛も欲望だろ?」
「そうさ。だから和樹――君が欲しくなったら真夜中でもいい。こんな風に僕の所へ来て。必ず僕のところへ愛を求めに」
純愛は欲望にとても似てる。
まっすぐで情熱的――。
「あなたの愛にならいつだって応えるよ……だから僕の欲望を叶える協力もしてくれるよね?」
愛撫の手を徐々に導きながら
僕は核心に迫る。
「本当に……何企んでるの?」
九条さんの囁き声は再び熱を帯び
たとえどんな願いでも
叶えてやろうと言わんばかり――。
だから僕はそっと耳打ちする。
「――それっ……本気なの?」
「本気だよ」
何も知らないお父様に
ここで会ったのはきっと神様のおぼしめし。
明日僕は
お兄様方がひっくり返るような
快進撃を遂げる――そのつもり。
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