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九条さんが枯れることのない愛の泉なら――。
征司は僕にとって
激しく満ち引きを繰り返す荒波。
途絶えることなく僕を揺さぶり
近づけば危険極まりない。
「おまえが欲しい物はみんなやる。その為に俺にはあの家が必要だ。なぜ分からない?なぜ肩を並べようとする?」
何よりそう。
静かに波が引いている時こそ
特に注意が必要だ。
「僕の為に後継者になると仰るの?」
次に遅い来る
大波に備えて――。
「強欲なおまえの欲求に答えるには、天宮家という強力なバッググラウンドが必要なのさ」
冗談めかして笑うけど
その笑顔にはちっとも説得力がない。
「僕を一生加護するため?」
甘えてしまえば
面倒な争いは避けられる。
だけど反発するのは
「僕は一生あなたなしでは生きられないと?」
それが何より怖いから――。
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