episode 1  holy night――聖なる夜

13/23

118人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「下手の横好きです。僕の描く絵を見られたりしたら、それこそ篠宮家の恥だ」 僕は紅緒をなだめるように 頭をポンポンと撫でてやる。 「それなら君も、先代のように若い芸術家を育てるといい。食いつぶしきれん資産があるのだから、有意義に使わなくちゃならん。どうだね?」 紳士が抜け目なく笑うのを 「ええ、全くおっしゃるとおりです」 僕は口先だけで受け止める。 「春人くん、世の中にはね才能はあっても不幸な事情で花開かん種が5万とある。その点君は――生まれながらにして幸運だよ」 「ええ、たしかに」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加