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「やっぱり。そんなことだろうと思ったよ」
僕は長旅から帰ったばかりの妹のために椅子を引いてやる。
「でなきゃおまえ、屋敷に寄りつきさえしないものな」
根っから天真爛漫な星蘭には、この家のしきたりは窮屈すぎたのか。
女子大の寮に入ってからはめったに家には現れなくなった。
「遠慮してたのよ。お姉様との生活を邪魔しちゃいけないって。だけど当のお姉様から連絡があった」
「紅緒から?」
「お兄様は仕事でお出かけか、家にいても1人でアトリエにこもられてるかのどっちかだって。たまには話し相手に来てちょうだい――そうおっしゃってた」
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