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「何をいまさら――結婚してもうすぐ2年。僕が退屈な男だってことくらい、紅緒は百も承知だろう」
僕は妹の前でだけようやくほっと息をつく。
「そんなこと言ってると、すぐ離婚なんてことにもなりかねないわよ。あんなに素敵な人、2度と現れないんだから」
紅緒はまさに社交の花だった。
否が応にも男の視線を集める姿態と年長者を感服させる知性をもちあわせ、それでいてこれっぽっちもいやらしさがない。
妹は憧れを抱いた目をして
今宵もパーティーの中心で微笑む義姉を見つめていた。
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