【番外編】Perfect Crime-2

20/27
238人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  時間は、流れて。  そこには、大きな腹を抱えた麗しき人妻。  去年の今頃、俺はこのひとをつついて意地悪をして遊んでいたっけ、なんて思い出し方をしてから、彼女とのことがすっかり過去のことであることを自覚する。  大学に進学してしばらくは忙しくしていたけど、「お前の来ない保健室が暇で仕方ない」という額田先生からのメールを受け取って、珍しくぽっかり空いてしまった午後を利用し、母校を訪れたのが、運の尽き。  もうそれ臨月でしょう、と言いたくなるその姿。  愛美さんが、とっても綺麗なひとに見えた。  失礼な言い方になるかもしれないけど、愛美さんはとびきり美人というわけではない。  それでも、以前より薄いメイクの彼女は、以前よりずっと綺麗に思えた。  ただし、変な気はまったく起きないけど。  お腹の中の赤ちゃんがそういうオーラを出させるのだろうか、ママに触らないで、的な何か。  一瞬そんな馬鹿なことを考えてから、ぺこりと頭を下げた。  あのカフェで話をつけてから愛美さんに会うのは、初めてだった。  去年はあれほどあちこちで遭遇していたのに、本当に縁を切ったということになると、まったく出会わなくなってしまうなんて、おかしなものだ。 「仁志くん、久しぶり」  俺を見た瞬間軽く目を見開いたものの、愛美さんは何の憂いもない笑顔でこちらを見つめていた。  まあ、驚くことはない。こういう女性だ。  額田先生は俺と愛美さんを見比べて、やれやれと肩を竦める。 「何だ、お前ら。普通すぎてつまらない」 「元生徒に何を期待してるんですか」  はは、と苦笑すると、額田先生は愛美さんの顔を見た。 .
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!