第6話

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   その夜は、どうにもやるせなくて慌てて帰ることにした。  浜口さんが焼きおにぎりをくれるってしつこいほど言ってくれたけど、みんなで同時に解散するまで待てなかった。  あれからどうしたのか、なかなか席に戻ってこなかった真田と、どんな顔して話せばいいかも判らなかったし。  それは明日からの会社での日々だって同じことだけど、オフィスと居酒屋じゃ空気が違いすぎる。  ここじゃ、“働く女”としてふんばれる自信なんかないよ。 ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  帰って待ち構えていた飛鳥に抱きついて、わーわー泣いてしまった。 「そら見たことか」と芹香の毒が耳にも届いた気がする。  でも、ぜんぶぶちまけて甘えられるのはここしかなかった。  2人はそれを判ってるから、結局あたしを甘やかしてくれた。 .
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