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真田は呆れたようにつぶやき落とすと、タバコを持ってない方の手をそっと伸ばしてきた。
じっとしていると、鼻先を人差し指で軽く弾かれる。
「い、たっ」
「……だったら構わねえが、こっちの都合も考えろ」
「だから、誰もいないところでしたじゃない」
「そうじゃねえよ。お前があんなことするから、すぐ戻れなくなったんじゃねえか」
「え?」
ぱちぱち、と真田を見る。
真田はまたイライラして、チッと舌打ちをした。
「これ」
真田はポケットに手を入れると、そのままベルトの留め具の真下あたりで下から上にクイ、と持ち上げる仕草をあたしに見せた。
「──あっ!」
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