第6話

3/40
580人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  寒い季節、迂闊に泣くと、どんなにケアしても目じりに小さな傷ができる気がする。  腫れてはいないけど、自分にしか判らないピリッとした痛みを気にしながら、自販機で紙コップにあったかいミルクティーが注がれるのを待ってた。  背後でカチリと音がして、誰かタバコ休憩にでも来たのかな、と思った瞬間。 「お前、何のつもりだ」  頭の後ろから落ちてきた声に、ドキリと心臓が跳ねる。  引っかかりがなくて、テノールの割には少し凄みのある声。  気合いを入れて発せられた声ってわけじゃないはずなのに、真田の声はよく響く。  それが、少しだけ抑えられてあたしだけの耳に届いた。 「な、なに?」 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!