第6話

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   そこには案の定不機嫌そうな真田がいて、思わず怯みそうになる。  真田は火を点けたばかりのタバコを指で挟むと、じりっと眉根を寄せた。 「昨夜のアレは、なんだ」 「あれって……?」  ちら、とフロアの方を見る。  誰かが出てくる気配はなかった。 「とぼけるな。自分でやっといて」 「だって……」 「そうやって、わざわざ男の口から言わせるのが趣味なのか? あ?」  最後の「あ?」は機嫌のよくない時の真田の癖だ。  高校の時から、こうやって無駄に相手を脅すような癖は、社会人になっても変わってないらしい。 .
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