第6話

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   それでも平静を装って答える。  昨夜、早く逃げ帰って正解だ。やっぱり、会社の方がましだった。  真田の吐いた煙が顔にかかる。  ブルンと首を振って不快を示したけど、咳が出た。 「何すんの」 「イライラする」 「あたしの方がイライラするよ……ケホッ」  咳だけでなく鼻までつんとしてきて、「最悪」とこぼす。 「知らなかった。真田、性格悪い」 「どっちがだ」  ハ、と馬鹿にしたような笑いを漏らす。  イライラするとか言うくせに、なんでわざわざ休憩を被せてきたりするんだろう。  いつ誰が来るか判らないのに。  誰か来たら面倒、と思った瞬間、一歩下がって真田と距離を置いた。 .
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