バレンタイン狂想曲

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◇2年目◇ デパートで散々悩んで、 シックな感じが彼に似合う気がして、 ちょっとお値段が素敵すぎて、普段は手が出ない 高級チョコレートを買ってみた。 一粒300円とか、別次元だよ。 さぞ美味しいに違いないって 意気揚々と彼に渡す。 一粒口に放り込んで、もごもごする彼の 口許をガン見した。 「うん。普通」 えーっ!!!! 普通ってなに? 高級なんだよ? どこやらの皇室御用達なんだよ? 「好みの問題なんだろうけどさ。 俺、ビターチョコ苦手」 うわ、シックな選択、大失敗。 何だか凹む。 「おい」 呼び掛けられて顔をあげると、 高尚なチョコを一粒つまんだ彼が、 私の唇にそれを押し当てた。
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