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ヒョウ・・ッ・・
歓声があちこちから上がる中、我々の周囲1メートルにのみ季節外れの寒風が吹きました。
「よ、良かったやん!ミニオンやで、ミニオン!ミニオンの鉛筆、ま、ママも欲しかったなぁ!!」
「ま、まぁこれで勉強とかお絵かきしたりも出来るし、な!」
という親のギクシャクしたフォローも虚しく、はっくの顔には
「何がミニオンやねん。黄色の目玉やんけ(注:はっくはミニオンというキャラを知りません)」
「勉強がなんぼのもんじゃい。ワシはおもちゃが欲しかったんじゃい」
という不満の色がありありと浮かんでいます。
そんな謀反人のような人相になっている彼の横で、とっとも何の迷いもなく、ひょいっとくじを引いたのですが・・
無欲の勝利とでも言うのでしょうかね・・
とっとが引き当てたものは、中々にしっかりした作りの長銃でした。
その後の展開はきっと皆さんのご想像の通りなんですが、そりゃあもう拗ねる拗ねる。
当然はっくはとっとがゲットした物と交換して欲しい訳ですが、こういう時のとっとさんの物言いは、我々大人でも寒気がするほどに冷淡です。
「あかん。」
わずか三文字に含まれた
「お前、ちょっと俺より先に産まれたからって調子こいてんじゃねーぞ」
という冷めた感情(でも正論)の前に、はっくは撃沈したのでした。
まぁしかし、最終的にはお互いにゲットした物を交換していました。
これはとっとが何だかんだ言いながらお兄ちゃん思いというのもあるのですが、はっくが鉛筆を使って字を書く練習をしているのを間近で見てきたので、《鉛筆》というものに憧れがあったようです。
しかし、この差↓はデカいと思うんですがね・・
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