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それよりも他人の恋愛事情に首を突っ込みたがるのは、女子特有の習性のようなものなのか、それとも年齢的なものなのかを問いたいところである。
正門が見えてくる前に人だかりが見えた。
そんなに群がられては通れないじゃないかと文句を言ってやりたくなるのを堪えて、泉水は人だかりの中心に割って入って行く。
「あ、泉水さん」
「あ、泉水さん。じゃなくて、もう少し自分の立場とか世間体とか、現状を見て行動したりとかしてくれませんか?」
笑顔で手を振る将一に、泉水は溜息を吐かずにはいられない。
二人が合流したことで悲鳴のような声が聞こえる。部活動も終わるような時間なのにどこにこれほどの生徒が残っていたのだろう。見回りの先生は何をしているのだろうと、生徒会長に就任してからストレスは溜まる一方だ。
「変装すると不審者に見えて余計注目されますが?」
「変装がすべてではないでしょうが。……ここで話している方が悪いわね。帰ろう、将一くん」
泉水が一歩踏み出すと同時に道が出来る。
花道とも受け取れる道に泉水は何も思わず歩き、将一は面白い光景だなと笑みを零しながら後ろを追う。将一の笑みに桐丘高校の女子生徒は皆一喜一憂し、まるでアイドルの凱旋かのようにはしゃいだ。
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